素早い行動ができない社員に対しては感情論で伝えない
仕事では行動してみないと何もわからないということがよくあります。
仮説では『こうなるだろう』と考えていたものの、実際は真逆のことが起こることは珍しくありません。
トライアンドエラーを繰り返すことで正解が見えてくるた、まずは実行してみるということが大切です。
ところが考えてばかりで行動しない社員がいます。
言ってることは正しいけど・・・
たとえば職場にとても論理的であらゆるケースを想定しながら、石橋を叩いて渡るタイプの社員がいるとします。
それが悪いわけではありませんが、考えてばかりでなかなか行動に移さないという点が大きな課題となります。
例えばこんなやり取りがあるとします。
上司:『○○君あの件の進捗は今どれぐらいなのかな?』
社員:『いや他のメンバーと比べるとまだその半分も進んでいない状態です。理由としては○○というケースが起こった事態に備えて、他の部署にその部分の対応を調査してもらっています。もう少しかかりそうなので、そのデータが揃い次第、次のことを考えてみます。』
確かに言ってることは間違いがありません。
しかし、『それは理屈だろ・・・』と感じたくなる部分が多くあると思います。
どちらかといえば感覚で行動するタイプの上司だったら、理屈っぽい社員に対してどこか苦手意識があると思います。
そうなるとイライラしてしまいます。
上司:『理屈はいいから考えてばかりいないでさっさと行動しろ!』
社員:『しかしこういうケース起ったら余計に時間かかると思います』
というやり取りだとさらに論理的に反論をされ、それ以上に何も言えなくなり、面白くない気持ちが募るということになります。
数字やデータに向き合わせる
『考えること』と『行動すること』のバランスはとても大切です。
しかしまだ経験の浅い社員の場合、考えるよりも行動してみることは成長という観点では重要です。
若い社員が行動するよりも考えることに大きく偏ってしまうと、結果的には成長が遅くなってしまうことになります。
多くの場合、考えてばかりいると『ああなったらどうしよう』『こうなったら困る』などのミスや失敗のイメージが先行してしまい、行動を止める要因になっていきます。
だからといって行動を促すために、このタイプの社員に感覚的なことを言ってもこちらの思うように動いてくれることはありません。
たとえば、社員の行動を促すために『過去のデータにこだわらずに、とにかくパーッと当たって砕けろって感じで行こう!』と言ったとします。
それとこのタイプの社員は、心の中で上司を否定することは間違いないでしょう。
こうした論理的な部下には、数字やデータに向き合わせることが大切です。
『いい慎重差だね!ところでそれは今まで何パーセント当たってたのかな?』
米国ミシガン大学の研究チームが行った調査に、心配事のうち起こる確率は20%のみで80%起こらないというデータがあります。
このタイプの社員は、過去のデータや数字には信用をおく傾向があります。
そのため過去の出来事の発生率は何パーセントなのかということに早い段階で気付かせることで、データという事実に向き合った社員の行動を促すことができるようになっていきます。
考えずにすぐ行動する社員にはどう対処する?
逆に考えずにすぐに行動ばかりを優先してしまう社員に対しても、もちろん気をつける必要があります。
例えば、次のような質問してみます。
上司:『あの件がうまくいった理由はどこにあると思う?』
社員:『とにかく行動したのが良かったのではないでしょうか?』
こういう社員は仕事がうまくいったとしても、その原因がわからないため再現性がなく、行動が行き当たりばったりになってしまいます。
先のミシガン大学の例でも心配事の中で起こる20%のうち、16%は事前に考えて準備をしておけば起こらなかったというデータがあります。
『○○君、今回の事がうまくいった要因(いかなかった要因)を一旦考えてみようか ?』
こう伝えることで、行動する前に準備して考えることの大切さの意識づけを行うことができます。
×:『理屈はいいから考えてばかりいないでさっさと行動しろ!』
論理的に考えることはとても大切ですが、考えてばかりいると『ミスや失敗』という恐れが不安で行動が止まります。
また感情論で伝えても、素早く動くことはないでしょう。
○:『それは今まで何パーセント当たってたの?』
ほとんどの心配事は実際には起こりません。
その事実を感情論ではなく、数字で考えさせることで論理的な社員は考えすぎて行動できないことに気づくことができるでしょう。